周手術期で起こるインアウトバランス(IN/OUT)の異常と原因

看護学生の中には、周手術期のインアウトバランスが分からないと悩んでいる人もいるのではないでしょうか?

インアウトバランスは、身体の中に入る水分と出る水分のことですが、術後の異常の早期発見を行うために重要な情報となります。

インアウトバランスに異常が見られると、術後の経過にも影響してしまうため、しっかり観察を行うことが大切になります。

今回は、周手術期で起こるインアウトバランス(IN/OUT)の異常と原因についてお伝えします。

インアウトバランスとは水分出納のこと

インアウトバランスとは、人間の体内で行われる水分出納(すいぶんすいとう)のことですが、よく分からない学生も多いと思います。

私たちは生活しながら、水分や食事を摂取して尿や便として排泄することで、体内の水分バランスを保っています。

もし、水分を摂取しているのに尿が排出されない状況になってしまったら、インが過剰になってしまい、排泄する機能に異常をきたしていることが分かります。

このように、インアウトバランスの情報から、身体の機能の異常などを知ることができます。

イン(IN)は身体に入る水分

イン(IN)は身体に入る水分のことですが、主に飲水や食事、栄養素を燃焼する時に発生する代謝水などが挙げられます。

手術を受ける患者さんの場合は、術前や術中、術後の輸液量がメインになります。

アウト(OUT)は身体から出る水分

アウト(OUT)は身体から出る水分のことですが、主に尿や糞便、不感蒸泄などが挙げられます。

手術を受ける患者さんの場合は、上記に加えてドレーンの排液量、出血量がプラスされます。

手術によって起こるインアウトバランスの異常と原因

手術を受けるとインアウトバランスが崩れてしまいますが、原因には様々な要因が挙げられます。

周手術期に起こりやすいインアウトバランスの原因

周手術期に起こりやすいインアウトバランスの原因としては、下記の通りです。

  • 術前術後の食事摂取量の低下
  • 術中・術後の体液喪失
  • 手術侵襲・痛み・ストレスによる抗利尿ホルモンの分泌亢進
  • 麻酔・手術侵襲・炎症によるサードスペースの出現
これらが原因となり、周手術期には体内で様々な変化が見られます。

術前では絶飲食により脱水傾向となり、術中は術野からの不感蒸泄や出血、術後はサードスペースの出現により水分移動が生じることによって、インアウトバランスが崩れます。

サードスペースに水分が移動する

周手術期ではサードスペースが出現し、このサードスペースに水分が移動することによりインアウトバランスが崩れます。

サードスペースとは、細胞外液と内液の間に出現するスペースのことであり、手術侵襲が加わることにより、血管外に水分が移動してしまいます。

もう少し詳しく説明すると、手術侵襲により血管透過性が亢進して血管内から血管外に間質液が貯まり、貯まった水分が血管内に戻ることができずサードスペースとなります。

サードスペースに溜まった水分は、浮腫や腸管壁のむくみ、胸水、腹水の症状として現れます。

 

手術侵襲によって、本来であれば血管内に流れるはずの水分がサードスペースに移動してしまうため、体内では水分不足となってしまうことも考え、術後の輸液量を調整しながら管理を行います。

サードスペースの水分量は手術によって異なる

手術侵襲によってサードスペースへの水分移動が起こりますが、サードスペースに移動する水分の量は手術によって異なります。

開腹手術などの手術侵襲が大きいほど、サードスペースへの水分移動も多くなります。

逆に腹腔鏡を使用した手術の場合、創部も小さく手術侵襲が開腹手術に比べると少ないため、サードスペースへの水分移動も少なく、輸液量も少なく済むことが特徴です。

利尿期はサードスペースからの水分が血管内に戻る

先ほどの項目では、手術侵襲によりサードスペースへの水分移動があるとお伝えしましたが、術後はサードスペースに貯留した水分が血管内に戻るためOUTが増えます。

サードスペースの術後の経過について見て行きましょう。

術後2〜3日目で尿量が増加する

サードスペースに溜まっていた水分は、術後2〜3日程度で血管内に戻ります。

血管内に水分が戻り、循環血漿量が増えることによって、尿量の増加が見られます。

この時期のことを「利尿期」や「変換期」と言います。

そして、サードスペースに溜まった水分が尿として排出されるので、サードスペースがなくなり術前の状態に回復します。

尿量が増えなかったら?

術後のインアウトバランスの正常な経過としては、術後3日程度から尿量の増加が見られます。

術後3日経過しても尿量の増加が見られない場合は、心負荷による肺水腫の危険性が考えられます。

尿量が増加しない原因としては、心拍出量低下や腎機能低下が考えられるため、しっかり観察を行うことが大切です。
ポイント

尿量が増えない場合は、上記の合併症を起こす危険性が考えられるため、血圧上昇や副雑音、喀痰の性状、量などの観察を行い早期発見することが大切です。

術後管理で必要なインアウトの観察ポイント

インアウトバランスは術後の管理でも重要な情報となるので、観察のポイントを押さえておきましょう。

術中のインアウトの情報収集のポイント

術中は、麻酔科医によりインアウト管理が行われていますが、術中のインアウトバランスも評価することが必要になります。

術中のインは、主に輸液量と輸血量になります。

アウトは、出血量、尿量、術野からの不感蒸泄、サードスペースへの移行が考えられます。

不感蒸泄の計算は、以下の通りです。

  • 2〜3ml×kg×手術時間
また、サードスペースへの移行の計算は、以下の通りになります。

  • 中程度の開腹手術:3〜5ml×kg×手術時間
  • 広範囲の開腹手術:5〜15ml×kg×手術時間
術中のインアウトバランスとして、輸液量や輸血量、尿量、出血量は麻酔記録に記載されているので確認できます。

術後のインアウトの観察

術後は、輸液や輸血などによるINと出血量、ドレーンの排液量、尿量などの情報からインアウトを評価します。

特に、手術が終わって病室に戻ってからは、尿量を0.5ml×kg/時間を目安に維持するように管理します。

病棟でよく見られる指示としては、「尿量100ml/hを下回ったら利尿剤投与」などがあります。

術後はサードスペースを考慮して持続輸液が行われているため、心負荷がかからないためにも尿量の管理が大切になります。

また、利尿期になるとサードスペースからの水分量があるので、マイナスになりますが、この時期にプラスとなると異常が考えられます。

術後のインアウトバランスを理解するために

周手術期は手術侵襲などにより、体内では様々な変化が見られるためインアウトバランスも崩れます。

インアウトバランスは、身体の正常異常を知るためにも大切な情報となるので、しっかり観察することが大切になります。

特に、周手術期にはサードスペースと呼ばれる特徴があるので、理解してアセスメントを行いましょう。

周手術期の管理の勉強にオススメ

周手術期は様々な変化が見られますが、勉強についていけないと感じている学生も多いと思います。

急性期の看護では、正常と異常をしっかり理解して臨むことが大切になります。

この参考書では、今回紹介したサードスペースなどについても詳しく紹介されているので、周手術期の勉強に活用できる1冊です。

周手術期の実習で活用できる内容となっているので、看護学生にオススメです。

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