【周手術期】術後感染の観察ポイントと看護目標・計画について

周手術期の看護では、様々な術後合併症に注意して看護を行う必要があります。

術後感染は、身体に感染が起こった状態ですが、感染の原因は手術部位だけではありません。

術後感染を起こしてしまうと、離床の遅延の原因にもなってしまうため、予防の関わりが大切になります。

今回は、術後感染の観察ポイントと看護目標・計画についてお伝えします。

術後感染とは手術後に起こる感染のこと

術後感染とは、手術後に見られる感染症のことですが、大きく2パターンに分類されます。

  • 手術部位感染(通称:SSI)
  • 術野外感染症

それぞれの感染症について詳しく見ていきましょう。

手術部位感染(通称:SSI)

手術部位感染は、手術操作が直接及ぶ部位に生じる感染症のことであり、通称はSSIと呼ばれることが多いです。

例えば、創部やドレーンの排液から感染の兆候が見られた場合はSSIに該当します。

このように、手術操作を行った部位の感染のことを手術部位感染と言います。

術野外感染症

術野外感染症とは、手術部位とは関係がない部位での感染症になります。

具体的には、呼吸器感染症やカテーテル感染、尿路感染症などが挙げられます。

手術操作とは関係がないですが、手術が原因で起こる感染症のことを指します。

感染症の発症時期

術後感染には大きく2パターンありますが、発症する時期がそれぞれ異なります。

  • 持続点滴:術後3日ごろ
  • 尿路感染:術後3日〜
  • 手術部位感染:術後1週間前後

発症時期に合わせて観察を行い、早期発見することがポイントになります。

持続点滴による血栓性静脈炎

手術の時は必ず点滴を挿入して行われますが、術後3日ごろより、血栓性静脈炎が原因で炎症症状が見られます。

血栓性静脈炎のメカニズム

血栓性静脈炎とは、血管内の静脈に起こる炎症のことであり、静脈内にできた血栓が原因で静脈とその周囲の皮膚が炎症を起こすものです。

静脈炎の原因としては、以下のものが挙げられます。

  • カテーテル処置によって起こる損傷
  • 長期臥床
  • 手術
  • 脱水
  • 静脈瘤
  • 細菌感染
  • 止血機能の異常など
術後は安静期間も長くなるため、静脈内に血栓ができやすく発症してしまうこともあります。

また、感染を伴っている場合は、血栓が感染原因菌にとって栄養となってしまうため、治療が長引くこともあります。

血栓性静脈炎の症状と観察ポイント

血栓性静脈炎の症状は以下の通りです。

血栓性静脈炎の症状
  • 刺入部の発赤
  • 刺入部の腫脹
  • むくみ
  • 血管の痛み
血栓性静脈炎は点滴の刺入部位に見られることが多いので、術後は点滴刺入部位の観察も行います。

刺入部の発赤、腫脹だけでなく、点滴の滴下不良、点滴漏れなどがないかも確認します。

膀胱留置カテーテルによる尿路感染症

尿路感染症は、尿道や膀胱内に起こった感染症のことであり、術後3日以降に見られることが多いです。

尿路感染症のメカニズム

全身麻酔で手術時間が長くなると予測される場合、膀胱留置カテーテルを挿入します。

膀胱留置カテーテルは異物であり、蓄尿バッグを介して外と繋がった状態になります。

膀胱留置カテーテルを挿入するときは無菌操作で行いますが、陰部からの分泌物や細菌がカテーテルを介して尿道、膀胱内に入り込み感染を起こしてしまいます

膀胱留置カテーテル挿入の期間が長ければ長いほど、感染のリスクは高くなると言われています。

尿路感染症の症状と観察ポイント

尿路感染症の症状は以下の通りです。

尿路感染症の症状
  • 微熱
  • 下腹部の疼痛
  • 灼熱感
  • 尿の混濁
  • 尿中の白血球(+)
  • 尿中の細菌(+)
尿路感染症では、微熱や尿の混濁によって気づくことも多いので、バイタルサインと尿の観察がポイントになります。

手術部位感染は手術操作による感染

手術部位感染は、手術中の操作により起こる感染のことをさし、術後1週間前後に発症が見られます。

手術部位感染のメカニズム

手術部位感染は、手術部位に起こる感染のことであり、様々な要因が考えられます。

手術による要因としては、手術時の手洗いや術前除毛、器具の滅菌や異物挿入、手術手技などが挙げられます。

また、消化管の手術では不潔部位の操作が行われるため、手術部位感染も起こりやすいと言われています。

手術部位感染の症状

手術部位感染の症状は以下の通りです。

手術部位感染の症状
  • 切開部からの排膿
  • ドレーンからの排膿
  • 疼痛
  • 圧痛
  • 局所性の腫脹
  • 発赤
  • 発熱
  • 白血球数の増加
  • CRP値の上昇
術後はドレーンを留置することが多く、ドレーンからの情報が早期発見のポイントになります。

感染を起こしている場合は、排液が混濁し、濁ったような変化が見られます。

また、検査データも合わせてチェックしておくことが大切です。

術後感染が起こってしまったら?

術後感染は早期発見し、適切な対処を行うことが必要になります。

患者さんの観察で、感染が疑われるポイントが発見されたら、すぐに主治医に報告を行います。

発熱などの症状の場合は、感染の原因を特定するために採血を行い、検査データから特定します。

治療方針としては、患者さんの免疫機能を高めるとともに、抗菌薬による治療の管理と感染した創傷部へのケアを行います。

術後感染は予防することがポイント

術後感染は、感染を起こさないように予防することが大切になります。

手術部位へのケアでは、スタンダードプリコーションに従って、無菌操作で実施します。

また、ドレーンが挿入されている場合は、排液バッグの高さや屈曲や圧迫による閉塞に注意することが大切です。

カテーテル類は、刺入部位の観察、交換時の消毒などを確実に行い、尿路感染を予防するために清潔ケアの実施も必要になります。

感染予防のケアは、術後から継続して行うことが、予防するためのポイントになります。

術後感染の看護目標

術後感染の看護目標の一例を見ていきましょう。

長期目標

術後感染の兆候が見られず、退院できる

短期目標
  • 術後3日以降に持続点滴刺入部位の感染が見られない
  • 術後3日以降に尿路感染の兆候が見られない
  • 術後1週間以降に手術部位感染症の兆候が見られない
  • 膀胱留置カテーテルが抜去できる
  • 早期離床の必要性が理解でき、実施できる

術後感染症の看護計画

O-P(観察項目)

①現在の状況についてのアセスメント

  • 点滴刺入部位の皮膚の状態
  • 膀胱留置カテーテル挿入の有無
  • 尿の性状
  • 創部の状態
  • ドレーンの排液の状態
  • バイタルサイン(体温・血圧)
  • 離床状況

②術後感染症の症状についてのアセスメント

  • 点滴刺入部位の疼痛、腫脹、発赤の有無
  • バルーンバッグ内の尿混濁
  • 下腹部痛の訴え
  • 創部の疼痛、腫脹、発赤、浸出液の有無
  • ドレーン排液の混濁
  • 発熱の有無
  • 血液検査データ(WBC、CPR)
  • 尿検査

T-P(援助項目)

①皮膚の観察を行う

  • 点滴刺入部位、創部の観察を行う

②創部の処置介助を行う

  • ガーゼ交換は無菌操作で実施する
  • 浸出液や汚染が見られたら交換を実施する

③清潔ケアを行う

  • 全身清拭、陰部洗浄を行う

④早期離床を促す

E-P(患者教育項目)

  • 創部の処置の必要性を説明する
  • 創部を清潔に保つ必要性を説明し、汚染があればすぐに看護師に伝えるように指導する
  • 点滴刺入部位や創部に痛みを感じたらすぐに看護師に伝えるように指導する
  • 早期離床の必要性を説明する

看護計画のポイント

術後感染症は、術後から数日経過してから見られることが多い症状ですが、予防する関わりを行うことがポイントになります。

術後は、点滴に膀胱留置カテーテル、ドレーン、創部と感染のリスクが高い状態です。

全身清拭や陰部洗浄を行い、皮膚の清潔を保つことで感染を予防することが出来ます。

また、術後の離床が進まない場合は、膀胱留置カテーテルの抜去ができない場合もあるため、できるだけ早期離床を進める援助が必要になります。

術後感染症を理解するために

術後感染症は、術後に発症する感染症のことですが、術後の患者さんは感染を起こす要因がたくさんあります。

感染のリスクはどの部分なのかを考えながら観察を行うことが、予防と早期発見のポイントになります。

術後感染症を起こしてしまうと治癒遅延になり、退院も遅くなってしまいます。

マメな清潔ケアによって予防できることも多いので、しっかりケアを行なっていきましょう。

周手術期の勉強にオススメ

周手術期の実習では、普段の実習よりボリュームも多く大変に感じている人も多いと思います。

特に、術後の観察は重要なポイントになるので、実習の指導のメインになります。

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ケアの方法なども写真で紹介されているので、分かりやすく、周手術期の実習に活用できる1冊です。

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