【周手術期】肺塞栓症、深部静脈血栓症の観察ポイントと看護計画

周手術期の患者さんは、術後合併症を予防するために様々な観察が必要になります。

その中でも、肺塞栓症や深部静脈血栓症は注意が必要な術後合併症になります。

術後は早期離床の関わりが重要になりますが、離床時には血栓症の症状に注意しながら進めることが大切です。

今回は、肺塞栓症、深部静脈血栓症の観察ポイントと看護計画についてお伝えしていきます。

肺塞栓症と深部静脈血栓症は血栓が原因で起こる

術後の早期離床時の注意する術後合併症として、肺塞栓症深部静脈血栓症が挙げられます。

この2つの合併症は、血栓が原因で起こります。

肺塞栓症は血管が閉塞した状態

肺塞栓症は、血栓や異物などが肺動脈を閉塞し、肺循環障害を引き起こすことです。

深部静脈血栓症が原因となり、肺動脈が詰まった状態です。

深部静脈血栓症は血栓が形成された状態

深部静脈血栓症は静脈血流の停滞などが原因で、静脈内に血栓が形成された状態になります。

肺塞栓症は歩行開始時に発症することが多い

肺塞栓症は、血栓などが肺動脈に詰まってしまい閉塞してしまう状態のことです。

術後の歩行開始時や排尿・排便行動時に発症することが多いです。

肺塞栓症の原因

肺塞栓症の原因は以下のものが挙げられます。

  • 血栓
  • 脂肪塊
  • 空気
  • 腫瘍
  • 異物など

肺塞栓症のメカニズム

下肢の静脈に出来た血栓は血流に乗り、下大静脈から心臓にたどり着きます。

心臓から肺動脈に詰まることで、ガス交換ができず低酸素血症、心拍出量の低下や右心不全を引き起こします。

肺塞栓症の症状

肺塞栓症の症状は以下の通りです。

肺塞栓症の症状
  • 呼吸困難
  • 胸痛
  • 多呼吸(20回/分以上)
  • 頻脈
  • 不安感
  • ショック
術後の歩行時などに発症した場合、急に症状が見られることが多いです。

肺塞栓症の観察ポイント

肺塞栓症は術後の離床時に発症することが多いので、しっかり観察を行うことが大切です。

  • 呼吸状態
  • 呼吸困難感の訴え
  • 胸痛の訴え
  • 咳、チアノーゼ
  • パルスオキシメーター
  • 顔色、表情
初回の離床時には、必ず付き添いを行い異常がないか観察を行いながら進めることが必要です。

深部静脈血栓症は下肢に多く発生する

深部静脈血栓症は静脈血流の停滞などが原因で、静脈内に血栓が形成された状態であり、肺塞栓症の原因でもあります。

深部静脈血栓症は、下肢に多く発生する特徴があります。

深部静脈血栓症の原因と要因

深部静脈血栓症の原因と要因は以下の通りです。

  • 血液凝固亢進
  • 静脈血流の停滞
  • 静脈内皮の障害
  • 長期臥床
  • 脱水傾向
  • 肥満
  • 経口避妊薬の内服
  • 生活習慣病(糖尿病、高血圧、高脂血症など)
術後は、手術による臥床状態や出血後などの状態により血栓が出来やすい状態です。

深部静脈血栓症のメカニズム

全身麻酔などの手術では、長時間同一体位を保持した状態になります。

長時間同一体位をとっていると、筋肉の動きがなくなってしまうため、下肢の静脈の流れが悪くなり凝固してしまいます。

この凝固が血栓であり、下肢に出来た血栓が離床時に血液に乗って肺動脈を塞栓してしまうことにより、肺塞栓症を引き起こします。

深部静脈血栓症の症状

深部静脈血栓症の症状は以下の通りです。

深部静脈血栓症の症状
  • 発症初期から足関節背屈時に腓腹部の痛み(ホーマンズ兆候)
  • マンシェット加圧による腓腹部の痛み(レーベンベルク兆候)
  • (閉塞時)急激な浮腫
  • (閉塞時)緊満感のある浮腫性腫脹
  • (閉塞時)うっ血によるチアノーゼ
深部静脈血栓症では、脚の痛みを訴えることが多いので、早期発見が重要になります。

深部静脈血栓症の観察ポイント

深部静脈血栓症の兆候が見られた場合、肺塞栓症につながるリスクが高いため、日頃の観察が重要になります。

  • 足背動脈の触知
  • 下肢の疼痛や腫脹・熱感
  • 足関節背屈運動時の痛み(ホーマンズ・サイン)
  • 腓腹筋、ヒラメ筋の把握痛
  • 血液検査データ(D-dimer増加、FDP上昇、アンチトロンビン減少など)
深部静脈血栓症の観察は、下肢の疼痛や血液データの数値がポイントになります。

肺塞栓症と深部静脈血栓症が起こってしまったら?

深部静脈血栓症を発症している場合、下肢の疼痛や足関節背屈時に腓腹部の痛みであるホーマンズ兆候が見られます。

このような兆候が見られたときは、すぐに医師に報告を行い指示された処置を行います。

処置としては、肺動脈造影や胸部造影CT、右心カテーテル検査などを行います。

肺塞栓症を発症した場合、急激な呼吸困難、血圧低下、ショック、チアノーゼ、胸痛、意識障害などの症状が見られるため、すぐに医師に報告を行い処置が必要になります。

酸素吸入や人工呼吸器の装着、抗凝固療法、血栓溶解療法などを行います。

肺塞栓症と深部静脈血栓症は予防と早期発見がポイント

肺塞栓症と深部静脈血栓症は術後の離床時に発症することが多いため、予防と早期発見がポイントになります。

術後の長期間の臥床により血栓が出来やすくなってしまうため、早期離床と運動や弾性ストッキングの着用、間欠的空気圧迫法により予防の関わりを行うことが大切です。

また、リスクの高い患者さんに対しては、抗凝固療法なども行います。

弾性ストッキングは術前から術後の長期間着用するため、痒みや圧迫感などが生じることがあるため、1日1回は外してケアをするなどの関わりが必要です。

肺塞栓症と深部静脈血栓症の看護目標

肺塞栓症と深部静脈血栓症の看護目標の一例を見ていきましょう。

長期目標
肺塞栓症と深部静脈血栓症の兆候が見られず、退院できる
短期目標
  • 弾性ストッキングの着用ができる
  • ホーマンズ兆候が見られない
  • 早期離床ができる
  • 離床時に塞栓症の症状が見られない

肺塞栓症と深部静脈血栓症の看護計画

O-P(観察項目)

①現在の状況についてのアセスメント

  • ホーマンズ兆候の有無
  • レーベンベルク兆候の有無
  • 足関節の足背運動の状況
  • 足背動脈の触知
  • 浮腫の有無
  • 下肢の疼痛の訴え
  • 初回歩行時の状態
  • 離床状況
  • 弾性ストッキングの着用状況
  • 皮膚の掻痒感や乾燥

②肺塞栓症と深部静脈血栓症の症状についてのアセスメント

  • 下肢の疼痛の訴え
  • 急激な下肢の浮腫
  • 急激な呼吸困難の有無
  • 血圧低下
  • ショック
  • チアノーゼ
  • 胸痛
  • 意識障害

T-P(援助項目)

①深部静脈血栓症の観察

  • ホーマンズ兆候、レーベンベルク兆候の有無
  • 足背動脈の触知や足関節の背屈運動の状況
  • 疼痛の訴え

②足関節運動を促す

  • ベッド上で背底屈運動を行うよう伝える
  • 足関節の運動状況を観察する

③早期離床を促す

  • 初回離床時は付き添いで実施する
  • 肺塞栓症の発症の観察
  • 術後の離床状況について把握する

④清潔ケアを行う

  • 弾性ストッキングは1日1回外してケアを行う
  • 掻痒感が強い時は部分清拭を実施する
  • 乾燥がある場合は保湿クリームを塗布する

E-P(患者教育項目)

  • 肺塞栓症と深部静脈血栓症の症状について説明を行い理解してもらう
  • 足関節の運動の必要性を説明し、実施するよう指導する
  • 初回歩行時は付き添いで実施する必要性を指導する
  • 肺塞栓症と深部静脈血栓症の症状が見られたら、すぐに看護師に伝えるよう指導する
  • 弾性ストッキング着用の必要性を説明し理解してもらう

看護計画のポイント

術前から弾性ストッキングの着用や間欠的空気圧迫法により、深部静脈血栓症の予防に務めることがポイントになります。

術後は弾性ストッキングの着用や早期離床の必要性を、患者さんに説明を行い理解してもらうことが必要になります。

また、ホーマンズ兆候などの観察をしっかり行い、ベッド上でできる足関節運動の指導を行い実施できるよう関わっていくことが大切です。

特に初回歩行時は、肺塞栓症の発症のリスクが高いため、必ず付き添いを行いながら実施することがポイントです。

肺塞栓症と深部静脈血栓症を理解するために

術後は長期間の同一体位や臥床によって、深部静脈血栓症のリスクが高くなります。

術後の離床時に肺塞栓症を発症してしまう患者さんも多いため、予防と観察をしっかり行うことが必要です。

肺塞栓症を発症した時はすぐに適切な処置が必要になるため、すぐに応援を要請し、医師に報告することが大切です。

周手術期の勉強にオススメ

周手術期の実習では、普段の実習よりボリュームも多く大変に感じている人も多いと思います。

特に、術後の観察は重要なポイントになるので、実習の指導のメインになります。

この参考書では、周手術期に必要な看護ケアや観察ポイントが詳しく紹介されています。

ケアの方法なども写真で紹介されているので、分かりやすく、周手術期の実習に活用できる1冊です。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です