【周手術期】術後せん妄の症状は?術後せん妄の観察項目と看護計画

術後せん妄とは、術後の起こるせん妄のことですが、特に高齢者に多く見られる術後合併症の一つです。

手術がきっかけで発症する一過性の精神障害であり、数日が経過すると元の状態に戻ることが多いです。

術後せん妄を起こしてしまうと精神的興奮などにより、転倒転落、カテーテル類の自己抜去などの行動が見られるため安全対策が必要になります。

今回は、術後せん妄の前駆症状と術後せん妄の観察項目と看護計画についてお伝えします。

術後せん妄は手術がきっかけで発症する精神障害のこと

術後せん妄は、患者さんの背景や術後の物理的環境、手術侵襲による身体の状態などが複雑に関連しあって発症する一過性の精神障害のことです。

一過性の精神障害であり、発症してから数日間で元の状態に戻ることが多いです。

術後せん妄は高齢者に多く見られる

術後せん妄は全ての人に発症するわけではありません。

様々な要因が関連しあって発症すると言われていますが、特に高齢者に多く見られます

また、侵襲が強い手術を受けた人やICUで治療を行なっている人、不安が強い人などに発症しやすい特徴があります。

術前は自立してしっかりしていた人であっても、術後せん妄を発症すると人が変わったようになってしまうこともあります。

術後せん妄の前駆症状

術後せん妄は術後に発症するせん妄のことですが、発症のタイミングやきっかけは個人差があります。

夜間に発症する人もいれば、術後数日経過してから症状が見られる人もいます。

術後せん妄の前駆症状は以下の通りです。

  • 落ち着きがない
  • カテーテルやラインなどに違和感を示す
  • 言動や活動が活発化または低下
  • 不眠、悪夢

術後にこのような症状が見られた場合、術後せん妄に移行する可能性が高いため注意が必要になります。

術後せん妄の症状

先ほどの前駆症状から進行して術後せん妄を発症した場合、以下の症状が見られることがあります。

術後せん妄の症状
  • 幻覚や妄想
  • カテーテルやラインの自己抜去
  • 大声を出すなどの精神的興奮
  • 発作時の記憶障害
  • 昼夜逆転などの睡眠障害
  • 注意力の低下
  • 指示が入らない
  • 転倒転落

術後せん妄が起こってしまったら?

術後せん妄が発症してしまったら、患者さんの安全の保持や家族へのサポートを行うことが大切になります。

術後せん妄への対応としては、幻覚や妄想に否定をせず、受け止め冷静に関わることが必要です。

患者さんの自身も自分の状況に対して不安が強いため、寄り添い不安を緩和する関わりを行います。

また、術後せん妄を起こした患者さんの家族も不安を感じてしまうため、術後せん妄の特徴や対応について分かりやすく説明を行い、患者さんと関われるようサポートすることが大切です。

術後せん妄は予防と早期発見がポイント

術後せん妄は、高齢者や不安などの要因によって引き起こされるため、術前から予防する関わりが大切になります。

術前の説明では、術後のイメージが分かりやすいよう細かく説明するなどの関わりを行うことや、生活リズム崩さないような援助が必要になります。

睡眠状況を把握したり、不安に対して傾聴や足浴などによりリラクセーションができる関わりを行います。

また、術後せん妄の前駆症状をいち早くキャッチして、患者さんの安全を保持することも必要になります。

術後せん妄の看護目標

術後せん妄の看護目標の一例を見ていきましょう。

長期目標
術後せん妄を起こさず退院できる
短期目標
  • 術前の説明で術後の環境がイメージできる
  • 手術に対する不安を表出できる
  • 生活リズムを整えることができる
  • 睡眠がしっかりとれる
  • せん妄の前駆症状が見られない

術後せん妄の看護計画

O-P(観察項目)

①現在の状況についてのアセスメント

  • 手術に対する理解度
  • 説明時の表情や言動
  • 手術に対する不安
  • 生活リズムや睡眠状況
  • 睡眠薬の内服の有無
  • 落ち着きのなさ
  • カテーテルやラインなどに違和感を示す
  • 言動や活動が活発化または低下が見られる
  • 不眠、悪夢の訴えの有無

②術後せん妄の症状についてのアセスメント

  • 幻覚や妄想の有無
  • カテーテルやラインの自己抜去のリスク
  • 大声を出すなどの精神的興奮の有無
  • 発作時の記憶障害の有無
  • 夜逆転などの睡眠障害の有無
  • 注意力の低下の有無
  • 指示が入らないなどの有無
  • 転倒転落の危険性
  • 体動や危険行動の有無

T-P(援助項目)

①術前オリエンテーションを実施する

  • 術後の環境を細かく説明する
  • 手術に対する理解度を確認する

②手術に対する不安の軽減

  • 手術に対する不安の表出をサポートする
  • 不安に対して解消できるように関わる
  • 足浴などを行いリラクセーションが図れるように関わる

③生活リズムを整える

  • 睡眠状況を把握する
  • 不眠の場合は睡眠薬の使用を検討する

④環境整備を行う

  • 転倒転落を防止するためにベッド柵を使用する
  • カテーテルやルート類の自己抜去を防ぐ

⑤家族へのサポートを行う

  • せん妄発症時はせん妄について説明を行う
  • 家族が安心して関われるようサポートを行う
  • 不安を傾聴する

E-P(患者教育項目)

  • 術前に術後の環境について詳しくオリエンテーションを実施する
  • 術後せん妄を予防するために生活リズムを整える必要性を説明し理解してもらう
  • 術後せん妄について家族に説明を行い、関わり方を指導する

看護計画のポイント

術後せん妄は、予防の関わりがポイントになります。

術後せん妄を予防するために、術前の不安を緩和する関わりや生活リズムを整えるための関わりが大切になります。

また、術後せん妄の前駆症状を早期発見し、転倒転落やルートの自己抜去を予防するための環境整備も重要になります。

術後せん妄を起こすかもしれない、という視点を持って看護ケアを行うことが必要です。

術後せん妄を理解するために

術後せん妄は、高齢者に発症しやすく病棟でも多く見られる術後合併症の一つです。

術後せん妄を起こしている患者さん本人も不安が強く、家族も驚きと動揺により接し方が分からないことが多いです。

患者さん本人へのケアだけでなく、その家族のケアも重要な関わりとなります。

また、術後せん妄を起こしている患者さんは、転倒転落やルート類の自己抜去などの行動が見られるため安全も保持することが必要です。

術後せん妄の勉強にオススメ

術後せん妄は手術後に起こる一過性の精神障害のことですが、いざ目の前で起こると対応できない学生も多いと思います。

実習中に遭遇することがなくても、看護師になってから出会う機会も多いので勉強しておくことをオススメします。

この参考書では、術前・術後の看護ケアが紹介されており、術後せん妄についても詳しく書いてあります

周手術期の看護ケアが網羅されているので、急性期の実習に活用できる1冊です。

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