急性期の実習では手術を受ける患者さんを受け持つため、術前の関わりが必要になります。
術前の関わりとして、手術前の不安を緩和することが求められます。
学生の中には、「不安の緩和」の具体的な関わりが分からないという人もいるかもしれません。
術前の関わりは、手術を受ける患者さんにとって大切な関わりになります。
コンテンツ
患者さんの不安を理解する
手術を受ける患者さんは、手術に対して不安を抱えています。
この不安を言葉で表現する人や黙って我慢している人など、不安の表出には個人差があります。
まずは、患者さんが抱える不安について理解しましょう。
手術に対する不安
術前の患者さんが抱える不安は、以下のような内容が多いです。
- 手術がちゃんと終わるのだろうか?
- 麻酔から目が覚めなかったらどうしよう
- 手術後はどれくらい痛いんだろう?
- ちゃんと元の生活に戻れるのだろうか?
しかし、不安の原因が分からない、漠然とした不安を抱えている人もいます。
「分からない」が不安の原因になる
術前の患者さんは様々な不安を抱えていますが、「分からない」が不安の原因になっています。
不安を緩和するためには、「分からない」ことを1つずつ解消する関わりが必要になります。
手術中は予期せぬトラブルが起こることも考えられるため、「絶対大丈夫ですよ!」とは言い切ることは出来ませんよね。
患者さんの手術に関して「分からない」ことを解消していくことが大切です。
不安の緩和のための関わり
患者さんの不安を緩和するための関わりを行うためには、患者さんの目線になって考えることが大切です。
不安の緩和のための関わりのポイントは以下の通りです。
- 術前のイベントに同席する
- 表情の変化を見逃さない
- 家族の不安も聞いておく
術前のイベントに同席する
術前のイベントとして、IC(インフォームドコンセント)や術前オリエンテーションがありますが、患者さんの多くは全ての内容を覚えていません。
手術前の緊張や不安から内容を理解せずに「先生に全てお任せします」と答える人が多いです。
これらのイベントに同席して、患者さんの理解度を確認し足りない部分を補えるようにしておくことが必要です。
表情の変化を見逃さない
術前の不安の表出には個人差がありますが、表情を見抜くことで不安に気づけることがあります。
患者さんの表情をしっかり観察し、不安気な表情をしているシーンが見られたら「先ほどは不安気な表情をされていましたが、どうなさったのですか?」と声をかけましょう。
声かけをきっかけに不安を話してくれることもあります。
見逃さずに積極的に声をかけて聞いてみることがポイントです。
家族の不安も聞いておく
手術を受けるときは、手術当日に必ず家族の誰かが同席します。
患者さん本人から不安の表出が見られない場合は、見舞いに来た家族に話を聞きましょう。
「〇〇さん、手術に関して何か仰ってましたか?私たちの前では不安や心配事は話されないので。」
このように聞いてみると上手く行くことが多いです。
また、逆に家族にも「何か不安な点はありますか?」と聞いて、家族が抱えている不安も把握しておくことが大切です。
看護計画の立て方
実習を行うためには、術前の看護計画を立てる必要がありますよね。
術前の不安の関わりの看護計画の立て方を見ていきましょう。
術前の実習目標
術前の一般的な看護目標としては、不安の緩和や全身評価、家族への関わりなどが挙げられます。
受け持ち患者さんの看護計画を立てるときは、個別性を出して立てることが求められます。
- 手術に対する思いや不安を傾聴することができる
- 術前オリエンテーションやICに同席して、患者さんの不明点や疑問点を聞いて解決のサポートができる
- 家族から不安の訴えや思いを傾聴できる
観察項目
術前の不安の緩和の関わりを行うための観察項目を見ていきましょう。
- 表情
- 言動
- 理解度
- 家族への訴え
- 睡眠状況
- 落ち着きのなさ
これらの観察項目から、術前の不安へのアセスメントを行うことができます。
「なぜ」「どうして」の視点を向けながら関わっていきましょう。
不安緩和の関わりを行うために
患者さんに向き合い、寄り添うことで不安を緩和できるヒントが見えてくることが多いです。
関わり方が分からないという人は、まずは患者さんを理解して向き合うことから始めてみましょう。
周手術期の勉強にオススメ
周手術期の実習では、術前から術後までの流れを理解して実習に臨むことが求められます。
この参考書では、術前に行われるオリエンテーションから準備までが細かく紹介されているので、術前の流れをイメージすることができます。
また、術前から術後まで詳しく載っているので、周手術期の実習や事前学習に活用できる1冊です。