【周手術期】術後に起こる無気肺・肺炎・肺水腫の根拠と看護目標・計画

周手術期の実習では、受け持ち患者さんを通して手術前後の関わりを学んでいきます。

術後は合併症の出現に気をつけながら観察を行うことが必要になるので、実習内容もボリュームが多いものになります。

術後合併症は早期発見が大切になるので、根拠をしっかり理解して観察ができるようにしておきましょう。

今回は、術後に起こる無気肺・肺炎・肺水腫の根拠と観察ポイントについてお伝えします。

術後の呼吸器合併症は3つ

術後の呼吸器合併症は以下の3つになります。

  • 無気肺
  • 肺炎
  • 肺水腫

これらが呼吸器合併症として考えられますが、看護計画を立てる時は優先順位を考えて立てていきます。

呼吸器合併症の優先順位

術後の呼吸器合併症として頻度が高いものは、無気肺、肺炎、肺水腫になります。

優先順位としては、以下の通りになります。

  1. 肺水腫(麻酔終了後30分以内)
  2. 無気肺(術後3日以内)
  3. 肺炎(術後3〜5日以内)

病棟で見られる頻度は、無気肺→肺炎→肺水腫の順番となっています。

それぞれの根拠と症状を見ていきましょう。

肺水腫

肺水腫は、肺胞腔内にまで液体成分が貯留し換気が妨げられた状態です。

肺毛細血管静水圧や中心静脈圧の上昇、血漿膠質浸透圧の低下などが原因で起こります。

肺水腫のメカニズム

その理由としては、全身麻酔の手術の時は、気管チューブを気管内に挿入して人工呼吸で行われます。

全身麻酔が終了すると、気管チューブを抜管して自分で呼吸をするようになりますが、気管チューブが抜けた反動で急に上気道が閉塞してしまうことにより、体は呼吸をしようと努力します。

このため、胸腔内圧が強くなり静脈循環流量増加や肺内の血液量の増加、左心不可の増加をもたらします。

そして、間質や肺腔内にも強い陰圧がかかってしまうため、肺胞内へ水分が移動し肺水腫を発症させてしまいます。

麻酔終了後30分以内に発症しやすいため、術直後に観察が必要なポイントになります。

肺水腫の特徴的な症状

症状は以下の通りです。

症状
  • 胸部X線:陰影が両側肺野で見られる
  • 呼吸音:湿性ラ音
  • 呼吸の性状:呼吸困難、浅く速い呼吸
  • 痰の性状:血性の泡沫痰
  • 動脈血酸素分圧:PaO2↓、PaCO2は通常値
  • 循環:頻脈、血圧の上昇、チアノーゼ、頸静脈の怒張

無気肺

無気肺は、空気の流入が妨げられ肺が虚脱した(肺胞が潰れた)状態のことです。

無気肺のメカニズム

全身麻酔による気管内チューブの挿管や吸入ガスの刺激で気管内分泌物が増加し、肺胞腔内に貯留してしまうことが原因で起こります。

肺胞内に分泌物などが貯留してしまうと、ガス交換ができなくなってしまいます。

全身麻酔での手術は、長時間同じ体位を取っているため、痰や分泌物が溜まりやすくなってしまいます。

無気肺の特徴的な症状

症状
  • 胸部X線:肺の区域の形に沿って白い陰影
  • 呼吸音:連続性ラ音、呼吸音の減弱
  • 呼吸の性状:呼吸困難、呼吸数増加
  • 痰の性状:膿性痰
  • 動脈血酸素分圧:PaO2↓、PaCO2↑
  • 循環:頻脈、チアノーゼ
  • 体温:発熱

肺炎

肺炎は、肺や気管支内で細菌が増殖して炎症を起こしている状態です。

主に、無気肺の状態が続くと肺炎に移行することが多いです。

肺炎のメカニズム

肺胞内に分泌物が溜まった状態が続き、術後の疼痛などにより排痰できないことにより炎症を起こすことが考えられます。

また、気管内挿管の刺激による嘔吐や、胃の中の内容物が気菅や気管支に逆流することでも発症します。

肺炎の特徴的な症状

症状
  • 胸部X線:浸潤陰影が見られる
  • 呼吸音:湿性ラ音、気管支呼吸音
  • 呼吸の性状:呼吸困難、咳
  • 痰の性状:膿性痰
  • 動脈血酸素分圧:PaO2↓
  • 循環:頻脈、チアノーゼ
  • 体温:発熱
  • 血液:WBC↑、CRP↑

呼吸器合併症が見られたら?

術後は呼吸器合併症に注意しながら、観察やケアを行っていきます。

全身麻酔で手術を受けた場合は、呼吸器合併症が起こりやすいため、早期発見が大切になります。

呼吸器合併症が起こってしまったら、痰の喀出と酸素化を図る援助が必要になります。

酸素状態をモニタリング

具体的なケアとしては、気道内分泌物が出せるような援助を行っていきます。

パルスオキシメーカーなどを使用して、呼吸状態をモニタリングしていきます。

術直後にSpO2が90%以下になった患者さんは、酸素投与の指示が出ていることが多いです。

酸素投与は、術後1日目以降、SpO2が95%以上キープできている状態が確認できたら酸素オフの指示が出ていることが多いです。

その他の援助としては、ネブライザーの使用や疼痛時の喀痰の排出方法の指導などをを行います。

術後の呼吸器合併症の看護目標

術後の呼吸器合併症の看護目標としては、合併症の早期発見がポイントになります。

看護目標の一例を見てみましょう。

長期目標
呼吸器合併症の兆候が見られず、退院できる
短期目標
  • 術後3日以内に無気肺の兆候が見られない
  • 術後5日以内に肺炎の兆候が見られない
  • 疼痛による呼吸抑制が見られない
  • 早期離床により呼吸機能が回復する
  • 呼吸機能を維持しながら活動できる

看護目標としては、呼吸器合併症が起こらないことを挙げていますが、患者さんの状態によって変わってくるので、個別性を踏まえた目標の設定が大切になります。

術後の呼吸器合併症の看護計画

看護計画の一例を見ていきましょう。

O-P(観察項目)

①現在の呼吸状態についてアセスメント

  • 呼吸音
  • 呼吸困難の有無
  • 呼吸数、SpO2の数値
  • 咳嗽の有無
  • 排痰の状況、性状、量
  • 酸素療法の有無
  • 検査データ(胸部X線、血液検査など)
  • バイタルサイン(体温、血圧、脈拍)

②呼吸状態を悪化させる要因についてアセスメント

  • 創部痛の有無、程度
  • 排痰困難の有無
  • 離床状況
  • 活動時の呼吸状態

T-P(援助項目)

①気道閉塞を予防する

  • 疼痛時の排痰方法を指導する
  • 口腔内が乾燥しているときは、咳嗽を頻回に行う
  • 必要に応じて口腔内・鼻腔内吸引を行う
  • 飲水を行い排痰しやすくする

②疼痛コントロール

  • 疼痛出現時の薬物による疼痛コントールを図る

③呼吸リハビリテーションの呼吸訓練の実施

④早期離床を行う

  • 離床時は介助をしながら歩行を行う

E-P(患者教育項目)

  • 離床時やトイレの時は付き添いで行い、ナースコールするよう指導する
  • 早期離床の必要性を説明し、離床方法を指導する
  • 効果的な咳嗽ができるよう指導する

看護計画のポイント

術後の呼吸器合併症は、術後の離床が進まないことによって、悪化してしまうことも考えられます。

合併症の兆候を見逃さないための観察と、早期離床ができる計画を立ててケアを行っていくことが必要です。

また、術後の創部痛によって咳嗽が妨げられることもあるので、効果的に排痰ができるよう術前に指導することもポイントです。

無気肺や肺炎になってしまうと、治療の遅延にも繋がってしまうため早期発見、予防に努めましょう。

術後の呼吸器合併症を理解するために

急性期の実習は、患者さんの展開も早いためスピード感を持って、実習に取り組むことが大切になります。

看護計画や観察項目に考えるポイントが多く、大変に感じると思いますが、「なぜ観察が必要なのか」という視点を持って関わることが必要です。

周手術期では、患者さんが元気に退院される姿を見ることもできるので、看護の楽しさを感じることもできます。

呼吸器合併症は、術後の経過を左右するものでもあるので、しっかり予防、対策、ケアを行いましょう。

周手術期の勉強にオススメ

周手術期の実習では、普段の実習よりボリュームも多く大変に感じている人も多いと思います。

特に、術後の観察は重要なポイントになるので、実習の指導のメインになります。

この参考書では、周手術期に必要な看護ケアや観察ポイントが詳しく紹介されています。

ケアの方法なども写真で紹介されているので、分かりやすく、周手術期の実習に活用できる1冊です。

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