術前の身体面のアセスメントに必要な観察項目と根拠について

周手術期の実習では術前から受け持ちを担当することが多いですよね。

看護学生の中には、術前の観察項目が分からないと悩んでいる人もいるかもしれません。

術前は術後の合併症を予防するために、しっかり観察を行いアセスメントすることが必要になります。

今回は、術前の身体面のアセスメントに必要な観察項目と根拠についてお伝えします。

術前の情報収集の目的は術後のリスクを知るため

周手術期の実習では手術を受ける患者さんを術前から受け持ち、アセスメントを行っていきます。

術前の情報収集は、術後のリスクを把握する目的もあり、退院に向けた支援を行うために必要なものです。

また、術前の情報から術後のリスクをアセスメントして、術前に必要な指導を行います。

術前の情報収集とアセスメントをしっかり行うことで、術後の関わりもスムーズに行うことが出来ます。

術前に必要な観察項目について見ていきましょう。

術前に必要な身体面の観察

呼吸機能

術前の呼吸機能のアセスメントは、術後の呼吸器合併症の予防にも繋がります。

手術では、筋弛緩剤や吸入麻酔薬による呼吸筋の麻痺気道分泌物、気管支痙攣による気道閉塞、分泌物による抹消気管支閉塞による無気肺などの呼吸器合併症を起こしやすくなります。

術前に呼吸器合併症を起こしやすい要因があると、術後の経過に影響してしまいます。

術前に情報収集を行い、呼吸器合併症のリスクアセスメントを行います。

観察項目
  • 年齢、身長、体重
  • 喫煙習慣や本数
  • 日常生活での息切れや呼吸困難
  • 肺疾患の既往
  • 喀痰などの分泌物の量、性状、粘稠性
  • 呼吸機能検査
  • 血液ガス分析
  • 胸部X線検査

循環機能

全身麻酔での手術では、循環機能は麻酔薬の影響を受けるものも多いため注意が必要になります。

手術中は、静脈麻酔薬や筋弛緩薬を使用することにより、循環抑制が起こります。

また、輸液や輸血の過剰投与により心臓へ負荷がかかり血圧が上昇したり、酸素不足による心虚血から不整脈が起こります。

術後は血圧変動や不整脈などの循環機能の変化が起こりやすいため、術前にリスクアセスメントを行います。

観察項目
  • 日常生活での動悸、胸痛、息切れ
  • 心疾患の既往
  • 不整脈の有無
  • 心拍数、脈拍数、血圧
  • 心電図、心エコー
  • 胸部X線画像、CTR(心胸郭比)

栄養状態

手術を受けると手術侵襲により、エネルギーの消費が安静時よりも亢進する動きが見られます

消化管の手術などは、術後に食事制限などがあるため栄養状態が低下してしまいます。

術後の食事制限により、熱量供給が低下し低タンパク血症になりやすくなります。

低タンパク血症になると、ショック状態になりやすく創傷の回復遅延などを引き起こしやすくなります。

術前の栄養状態をしっかり把握し、術後に考えられる影響をアセスメントします。

観察項目
  • 年齢
  • 入院前の急激な体重減少や食欲低下の有無
  • 肝疾患や糖尿病、消化器系の疾患の既往
  • 浮腫、皮膚の状態
  • 総タンパク質値(TP)、血症アルブミン値
  • 血圧

肝機能

肝機能が低下していると麻酔からの覚醒が遅れたり、術後の感染や創傷治癒遅延を引き起こす危険性があります。

また、術後に肝不全や出血が止まらないなどの危険性も考えられます。

術前の肝機能をしっかり把握しておくことが大切になります。

観察項目
  • 肝炎や肝硬変などの既往歴
  • 尿・便の色、皮膚の色、掻痒間の有無
  • 血液検査(AST、ALT、LDH、Alb、T-bil)
  • 血液凝固因子

腎機能

腎機能が低下していると、術中や術後の高カリウム血症のリスクが高くなります。

また、体液量が増加してしまうため、術前の評価がポイントになります。

観察項目
  • 尿量、性状、尿比重
  • 尿検査(尿たんぱく、尿糖)
  • 血液検査(BUN、Cr、Na、K、Cl)

血液凝固能

免疫機能が低下していると術後感染を起こすリスクが高くなります。

また、貧血や血液凝固能の低下は術後出血を起こす危険性が高いため、術前検査の結果をしっかり把握しておくことが大切です。

観察項目
  • 出血
  • 血液検査(WBC、RBC、Ht、Hb)
  • 血小板
  • 出血傾向(出血時間、PT APTT)

内分泌

既往歴に糖尿病がある人は、創傷の治癒遅延や縫合不全などを引き起こす危険性が高くなります。

また、動脈硬化による梗塞なども引き起こしやすいため注意が必要になります。

観察項目
  • 既往歴(糖尿病、バセドウ病)
  • 血糖値、尿糖、尿ケトン体

その他の観察項目

身体面での観察項目と他に必要な観察項目を見て行きましょう。

アレルギーの有無

アレルギーには様々な種類がありますが、特に注意が必要なアレルギーは以下の通りです。

  • ゴム
  • アルコール
  • 食物
  • 絆創膏
  • 薬剤
  • 造影剤
手術中はドクターがゴム手袋で操作を行うため、ゴムアレルギーがある人は手術室に申し送りを行うことが必要になります。

また、アルコールや絆創膏、食物、薬剤アレルギーなどはしっかり把握しておくことが大切です。

装具の有無

患者さんの中には、コンタクトレンズや入れ歯、ペースメーカーなどの装具をつけている人もいます。

手術を行うときは、装具を外して入室する必要があるため、どのような装具を使用しているかを把握しておく必要があります。

特に補聴器や入れ歯は取り外し忘れが多いので、術直前に「補聴器・入れ歯注意」などの張り紙をはるなどの工夫も効果的です。

術前のアセスメントをしっかり行うために

術前の情報収集は、術後の看護を行う上で大切なものになります。

術前にしっかりリスクアセスメントが出来いれば、術後に合併症の兆候が見られた時に落ち着いて対応することができます

術前の患者さんの状態が術後の基準となるので、しっかり情報収集を行い把握しておくことが大切です。

「なぜ観察を行うのか」をしっかり考えながら丁寧に情報収集を行いアセスメントしていきましょう。

術前の情報収集にオススメ

周手術期の実習では、患者さんの展開が早いため、様々な情報収集やアセスメントを素早く行わなければなりません。

実習のスケジュールによっては、術前のアセスメントを1日で行わなければならないことも。

この参考書では、周手術期に必要な看護や情報収集の視点などが詳しく紹介されているので実習に活用できます。

術前の看護から術後まで急性期を網羅している内容になっているので、1冊あると勉強に役立てることができます。

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