グリセリン浣腸は実施後の血圧低下に注意!根拠と手順のポイント

下剤を飲んだのにも関わらず便が出ない時に浣腸の処置が選択されることが多いです。

自然に排便することが一番良い方法ですが、高齢者や寝たきりの患者さんの場合は、便秘傾向になることが多いです。

浣腸の処置は直腸を刺激するため、血圧低下などの危険性もあります。

なぜ血圧低下が起こるのかを知っておくと実習でもスムーズにケアを行うことができますよ!

今回は、グリセリン浣腸の根拠と手順のポイントについて見ていきましょう。

浣腸の目的

  • 下剤を服用したが排便困難が続いた場合に治療的に排便を促し、腹部膨満感を緩和するため
  • 手術や検査の前処置として結腸及び直腸内を空にするため
  • 投薬や造影を行うために結腸内に液体を留置する

浣腸が実施される理由

  • 結腸内に便が貯留しており、自然排便が期待できない場合
  • 手術や検査の前処置が必要な場合
  • 検査のためにバリウムを注入する場合や腸重積症の場合など

浣腸を行う際の留意点

  • 下半身を露出するのでプライバシーの保護に努める
  • 浣腸の必要性を説明し処理の内容を理解してもらう

浣腸のアセスメントと観察項目

全身状態

腹部膨満感の程度や自覚症状の訴え(腹部膨満感や食事が進まないなど)、腹部レントゲンの所見などの観察を行います。

バイタルサイン

高血圧や頭蓋内圧亢進状態にある場合、循環器系疾患の患者さんには浣腸を実施しないようにしましょう。

また、血圧が高い、頻脈があるなどの場合は指導者に報告をして実施を相談します

ポイント
特に高齢者は血圧が高めの人も多く、排便時の怒責によりさらに血圧が上昇することが考えられるため我慢や腹圧に注意する必要があります。

ADL

歩いてトイレまで行けるのか、車椅子なのか、介助が必要なのかによって、浣腸を行う場所を選択します。

実施後に移動できない場合は、ベッド上で便器を使って行うなどの対応が必要になります。

浣腸の必要物品

  • 指示された浣腸液(最近はディスポーザブルタイプを使用することが多いです)
  • 潤滑油(ワセリン、オリーブ油など)
  • ガーゼ
  • 膿盆
  • ティッシュペーパー
  • 手袋
  • エプロン
  • 処置用シーツ
  • 便器やオムツ
  • ※男性の場合は尿器もあると良い
  • 血圧計
潤滑剤としてキシロカインゼリーを使うことがありますが、アレルギー反応によってショックを起こすこともあるので使用には注意しましょう。

浣腸の手順

1.グリセリン浣腸は触って冷たければ、人肌程度に温めて準備しておく。

ポイント

教科書などには40〜41℃に温めるとありますが、最近では常温や冷たくない程度の温度に温めて実施する病院も多いです。

病院によって異なることがあるので、実習先で確認してください。

ただし、45℃以上に温めると腸粘膜の火傷につながるので、温め過ぎないように注意が必要です。

2.患者に浣腸の処置が必要であることを説明し、同意を得る。

3.カーテンを閉めてプライバシーを保護するなど環境を整える。

4.実施前に血圧測定を行い血圧に異常がないことを確認する。

ポイント
浣腸実施後に血圧が下がってしまうことがあるので、実施前に最高血圧が100〜90以下の場合は指導者に実施の相談をしましょう。

5.膝を屈曲した左側臥位の体位を保持してもらう。体位の保持が難しい場合は、仰臥位や右側臥位で実施することもあるが、原則は左側臥位で行う。

根拠
左側臥位をとることで、大腸の走行に沿って浣腸液が直腸から結腸にスムーズに流れるためです。
ポイント
立位での実施は禁忌となっています。理由は、腸圧によって直腸前璧の角度が鋭角になり、チューブの先端が直腸壁に当たることで、直腸穿孔の事故も報告されています。

また、肛門部の観察や挿入の長さを確認できないためです。

6.処置用シートを殿部に敷き込み、下着をずらしてバスタオルで保護しながら不要な露出を避ける。

7.実施前にディスポーザブル浣腸のストッパーを6cmの位置に合わせる

ポイント
直腸の長さは15cmであり直腸壁を穿孔しないため、成人の場合は6cmにストッパーを合わせておきます。

カテーテルの挿入の長さが短すぎると肛門括約筋だけを刺激してしまい注入液が保留されず効果が得られないため、6cmが適切とされています。

8.カテーテルのストッパー部分まで潤滑油を塗っておく。

9.患者に力を抜いて口で呼吸するように声かけを促し、カテーテルを挿入することを伝える。

根拠
口を開けて頚部の筋肉を弛緩させることで、下腹部や肛門括約筋の緊張もとれてカテーテルが挿入しやすくなるためです。

10.利き手と反対側の指で肛門を開き、ストッパーの位置まで挿入する

ポイント
便塊に当たってカテーテルが挿入できない場合は無理に進めようとせず、潤滑油を足して回しながら進めると入りやすいです。

挿入した時に疼痛の訴えやカテーテルが進められない場合は、すぐに中止をして医師に報告します。

11.カテーテルが挿入できたら、液を注入する。

12.気分不良や悪心、冷汗、腹部膨満感の有無などを確認する。可能であれば血圧測定を行い低血圧を起こしていないか確認する。

根拠
浣腸を行うことによって直腸が刺激され、迷走神経反射により血圧低下などの症状を起こす危険性があります。

血圧が低い状態で浣腸を実施するとさらに低下してしまうため注意が必要です。

13.注入が終わり便意が我慢できない場合は、便器を当てたりトイレに行くなどの対応を行う。

ポイント
教科書では、液を挿入してから3分ほど我慢するとありますが、最近では我慢の必要がないと言われており、我慢しない方向で実施している病院もあります。

実習先の病院のマニュアルを確認しておきましょう。

14.トイレ歩行に行くときは起立性低血圧に注意し、場合によっては車椅子などで介助を行う。

15.排泄物の量や性状の観察を行い、腹部膨満感の有無や残便感の有無、気分不良、血圧変動などがないか確認する。

16.異常がないことを確認して、後片付けを行う。

排便時に血圧低下が起こるのはナゼ?直腸刺激と迷走神経反射について

浣腸実施のアドバイス

浣腸は血圧変動を伴うこともあるので、処置を行うときには注意しなければなりません。

実施前後の観察がポイントになります。

失敗した例

  • 浣腸液を直前まで人肌程度に温めていたが、実施した時期が冬でだったので、挿入したときに冷たいと訴えられた。
  • お尻以外の部位にバスタオルをかけるなどの配慮が出来ていなかった。

グリセリン浣腸を行う際には、教科書では温めるとありますが、やけどの危険性もあるので常温で行う施設や病院もあります。

ただし、冬場など気温が低い時期などは患者さんに合わせて適切な対応を行うことが大切です。

まとめ

長期間の臥床が続くと排便困難になり、浣腸などの処置が必要な患者さんも多いです。

浣腸は第一選択ではなく、まずは下剤の内服や水分摂取を促すなどのケアを行うことが必要です。

浣腸によって気分不良などを起こすこともあるので、しっかり観察を行い実施することが大切です。

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