体温を測ることで感染の兆候や身体の中で起きている変化を把握することができます。
体温の異常は感染などの病気の兆候でもあるため、患者さんの状態を把握するための必要な情報となります。
体温測定は、腋窩の汗によって正しい測定ができない場合もあるので、測定を行う時には確認しておくことが必要です。
なぜ腋窩の汗を拭いて測定するのか?これを知っておくと実習で患者さんへの説明がズムーズに行えますよ!
コンテンツ
体温測定の目的
- 体温測定を行うことで身体の生理的な変化を観察し、体温の調節状態を把握するため。
- また、発熱時の解熱薬や冷罨法施行の治療効果、低体温からの復温の状態を把握するため。
体温測定が必要になる理由
- 感染症や高体温を呈している場合
- 手術を受けて重篤な状態にある場合
- 低体温を呈している場合
- 基礎代謝に影響を与える要因が存在している場合
体温測定を行う際の留意点
- 入浴や運動、食事の後は30分以上経過してから測定を行う
- 咳嗽や呼吸困難がある場合は口腔温測定は避ける
- 直腸疾患や肛門疾患がある場合は、直腸温測定は避ける
体温測定のアセスメントと観察項目
患者の状態
熱感や発汗の有無、腋窩で体温計を保持できるか
感染の有無
検査データや診察の所見など
基準値から逸脱しているか
体温測定の必要物品
- 電子体温計
- アルコール綿
体温測定の手順
腋窩体温測定
1.体温計の先をアルコール綿で消毒し、異常がないか点検しておく。
2.患者に体温測定を行うことを説明し、腋窩部を閉じた状態で10分程度待機してもらう。
3.体温計を体軸より30〜40度の角度で腋窩の最深部に挿入する。
4.腋窩を完全に閉じて皮膚を密着させ、軽く肘を曲げて中心部にずらす。
5.測定時間を守り、測定中は安静を保持してもらう。
6.測定が終わったら体温計を受け取り、患者の衣服と体位を整える。
7.測定値を確認して体温計の感温部を消毒綿で拭いておく。
体温測定のアドバイス
体温測定は、体温計を正しい位置に挿入して深部温を測定することがポイントです。
電子体温計では1分ほどで予測値のアラームが鳴りますが、実測値を測定する場合は患者さんに声かけを行い、そのまま10分ほど待機してもらいます。
失敗した例
- 体温計をしっかり腋窩に挟んだつもりだったが、体動で下に落ちてしまった。
- 痩せている患者さんだったので、腋にしっかり体温計が挟めなかった。
- 汗を拭いてもらうことを伝え忘れてしっかり測定できなかった。
体温計を腋窩に挟んだらしっかり保持して安静にしてもらうことが必要です。
また、痩せている人の場合は、腋窩に体温計が密着するようにしっかり押さえながら測定します。
それでも測定が不能な場合は、耳式の体温計や口腔温測定など他の方法を選択します。
実習で体温測定を実施した時は…
体温計が腋窩から落ちて測定できていないかったことがあったので、腋窩に挟んだのをしっかり確認して、挟んだ方の腕を反対側の手で押さえてもらうよう声かけを行なっていました。
また、実測値を測定したいのに、予測値のアラームで体温計を患者さんが取ってしまうことがあります。
そのため、事前に説明を行い、「アラームが鳴りましたが、もう少しそのままの体勢でお願いします」などの声かけを行うことでスムーズに進めることが出来ました。
まとめ
体温測定は、バイタルサイン測定の基本になります。
体温の異常は、身体の中で様々な異常が起きていることを示しているため「なぜ体温が上がっているのか?」という視点で観察することが必要です。
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