血圧測定は、心臓から全身に送り出される動脈の血管壁に加わる圧力を測定するものです。
血圧は高くても低くても身体に異常が起きていることを示しています。
測定部位や測定方法によって血圧の数値は左右されやすいので、正しい方法で測定することがポイントです。
正しい測定方法の根拠を知っておくことで、実習にも役立ちます!
コンテンツ
血圧測定の目的
- 高血圧や低血圧の診断の指標を知ることや降圧剤や昇圧剤などの薬物療法の効果を判断するため。
血圧測定が必要になる理由
- 高血圧や低血圧、循環器疾患がある場合
- 血圧の上下肢差が見られる疾患がある場合
血圧測定を行う際の留意点
- 安静時に血圧測定を行う
- 動脈採血、静脈採血直後には行わない
- 透析患者でシャントが形成されている側の腕では行わない
- 末梢から輸液が行われている場合は避ける
- リンパ郭清を行なった側の腕では測定しない
血圧測定のアセスメントと観察項目
内服の有無
降圧剤や昇圧剤の内服をしていないか
患者の体型
マンシェットのサイズ
測定部位
シャントの有無、採血の有無、末梢点滴の有無
既往歴
乳がんの手術やリンパ節郭清の有無
血圧測定の必要物品
- 聴診器
- 血圧計(水銀血圧計orアネロイド)

血圧測定の手順
1.血圧計のマンシェットやゴム嚢、チューブなどに破損や空気漏れがないことを確認する。
2.患者に測定することを伝え、直前に運動や食事などの行動を行なっていないことを確認する。
3.患者をリラックスさせて体位を整える(仰臥位or座位)。
4.マンシェットは患者に合ったサイズを選択する。
5.マンシェットを肘関節から2〜3cm上でゴム嚢が上腕動脈の真上にくるように当てる。
6.マンシェットと腕の間に指が2本入るように巻く。
7.患者の心臓と同じ高さに血圧計を置き、橈骨動脈を触診しながら加圧し、脈が消える圧力を測定する。
8.加圧の目安が分かったら、上腕動脈の上に聴診器を当てて加圧する。
9.先ほどの触診で得た数値より20〜30mmHg程度高い圧まで一気に加圧し、ゆっくり圧を下げながら、最初に聞こえた血管音の数値を読む。
10.減圧は2〜3mmHg/秒下がる程度の速度で行う。
11.減圧をすすめ血管音が聞こえなくなった時点の数値(最低血圧)を確認する。
12.測定が終わったら患者の衣類を整えて終える。
血圧計を心臓の高さに置く理由
水銀血圧計で測定する場合は血圧計を心臓と同じ高さに置くように習いますよね。
アネロイド血圧計で測定した場合も、測定部位は心臓と同じ高さで測定を行います。
これは、心臓から出た血液が関係しています。
血圧は、心臓から出た血液が全身を循環する時に動脈の血管壁をどれくらいの力で押し上げているかを測定するものです。
そのため、腕を上げて心臓より高い位置で測定すると、腕を上げたぶんだけ血液を上に押し上げる力が必要になるので、血圧が高く測定されます。
逆に、腕を心臓より下に降ろして測定すると血液は重力に従って流れるため圧力がかからず血圧が低く測定されます。
血圧測定のアドバイス
血圧測定はバイタルサイン測定の中でも基本中の基本となります。
血圧の変化は身体の中で起こっている異常や異常の予測にもつながるため、正しい測定値を測定することが必要です。
失敗した例
- 減圧する時に排気弁をひねりすぎて一気に減圧してしまい測定できなかった。
- 減圧のペースが早すぎてコロトコフ音を聞き逃してしまった。
実習では水銀血圧計やアネロイドで血圧を測定することが多いと思います。
減圧のペースを間違えてしまうと正確に測定ができないため、事前の点検時に排気弁が開放されるかしっかり確認しておきましょう。
減圧のペースは練習あるのみなので、減圧の練習をしておくことが大切です。
実習で血圧測定を実施した時は…
実習で血圧測定を行なった時は、自分の緊張感が患者さんにも伝わってしまい、血圧がいつもより高く測定されることがありました。
血圧は緊張や運動などの影響を受けやすいため、実習の時には患者さんにリラックスをしてもらえるような関わりを心がけていました。
まとめ
血圧測定はバイタルサインの中でも重要な項目の一つになります。
血圧の異常は循環機能の異常の発見にもつながるため、毎日の変化を把握しておくことが必要です。
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