ストーマとは、腹壁上に造設した瘻孔から排泄を行うことであり、人工肛門や人工膀胱と呼ばれます。
排泄を行うためには欠かせないストーマですが、見た目やニオイの漏れ、皮膚トラブルなどが気になるものでもあります。
特に、ストーマを固定する接着剤によって皮膚トラブルを起こしやすいため、しっかり観察することがポイントです。
ストーマの観察ポイントを押さえておくことで、実習でも慌てずに進められますよ!
コンテンツ
ストーマケアの目的
- ストーマ装具の適切な交換とパウチ内に貯留した排泄物の処理を行うため。
- また、ストーマの異常の早期発見やストーマ周囲の皮膚トラブルの観察と予防を行うため。
ストーマケアが必要になる理由
- 消化管疾患や腎泌尿器疾患などにより、腹壁上にストーマを造設され、排泄経路が変更された場合。
- 手術により消化管吻合部の安静のために一時的に造設された場合。
ストーマケアを行う際の留意点
- プライバシーを保護するため面会者がいる場合や、食事時間は避けて行う
- 患者の受容状況に合わせてセルフケアを進めていく
- ケア時には病室のカーテンを閉めるなどプライバシーの保護に努める
ストーマケアのアセスメントと観察項目
ストーマの位置
色、サイズなど
排泄物の性状
- 消化器系の場合:便、ガスの量、便の性状やにおい
- 尿路系の場合:尿量、尿混濁、血尿
ストーマトラブルの有無
浮腫の有無、出血、脱出、狭窄の有無や程度など
周囲の皮膚トラブルの有無
掻痒感、疼痛、発赤、びらんの有無や程度など
面板の状態
排泄物の付着、皮膚保護剤の溶け具合、しわ付き具合など
ストーマケアの必要物品
- 交換するパウチと面版
- ガーゼ
- 微温湯
- 石けん
- 剥離剤(リムーバー)
- ビニール袋
- 手袋
- 皮膚保護剤
- スケール(ストーマーゲージ)
- ストーマー用ハサミ
- マジック
- ノギス
- 処置用シーツ
- 蓄尿袋(尿路系の場合に必要時)
ストーマケアの手順
1.看護師が行う場合は仰臥位で、患者が自分で交換する場合は座位で行う
2.ベッド周囲の汚染を防止するため、処置用シーツを敷き、パウチ側のストーマ下方にビニール袋をあてがい、絆創膏テープで肌に貼り付けておく。
3.微温湯で湿らせたガーゼを皮膚と面板の間に入れ、湿らせながら皮膚が持ち上がらないように押さえ、排泄物の反対側から剥がす。
4.面板の観察も行い、粘着面を二つ折りにしてビニール袋に破棄する。
5.ストーマ周囲の皮膚を観察する。
6.ストーマ周囲の皮膚を湿らせたガーゼと石けんを使って清拭する。
7.ストーマスケールで計測、あらかじめ穴が空いているタイプのものはゲージで確認する。
8.新しいストーマ装具を準備して、面板をストーマの大きさより2〜3mm大きめにカットする。
9.皮膚の乾燥を確認したら、皮膚にシワができないように伸展させながら装具を貼り付ける。
10.面板にパウチを下から上へとしっかりはめ込み、軽く引っ張りながら外れないことを確認する。
ストーマ内の排泄物の処理
1.パウチに排泄物が3/1程度溜まったら廃棄する。
2.排泄口を外側に2cmほど折り返し便を出す。
3.便を出したら排泄口部の内側や折り返した部分などをティッシュペーパで拭く。
ストーマケアのアドバイス
ストーマケアは皮膚トラブルが起こりやすいため、トラブルの早期発見が大切になります。
皮膚トラブルを予防するためにも、ストーマと周囲の皮膚の観察がポイントです。
排泄物などが付着して皮膚トラブルを悪化させてしまう危険性があるため、清潔を保持することが必要です。
失敗した例
- ストーマの装具を外すと便が出てきて周囲を汚染してしまった。
- カットした面板のサイズが小さくなってしまった。
- 面板に排泄物が付着して周囲から漏れがあった。
ストーマからの排泄は自分の意思で止めることができないため、常に排泄物が出てくることがあります。
実習でストーマケアを実施した時は…
ストーマの面板を皮膚から剥がす時は、無理に引っ張らず、剥離剤を使用しながら剥がしていました。
また、ストーマ周囲を洗っている時に、ストーマから排泄物が出てきてしまったので、素早く終わらせることもポイントです。
まとめ
ストーマケアは清潔を保持することが大切ですが、中にはストーマを受け入れることが出来ていない患者さんも多いです。
自立度が高くても、ストーマの受け入れ状況に合わせて介助を進めていくことが大切です。
また、ストーマを付けていることで排泄物のニオイ漏れなどを気にする患者さんも多いので、消臭剤の使用なども方法の一つです。
ストーマケアが分かりやすい参考書
ストーマーケアの手順がイラストで紹介されているので、イメージがしやすい参考書です。
また、技術の根拠も書かれているので、根拠を勉強しながら実習に役立てることができます。
ストーマケアについて勉強したい人にオススメの参考書です。